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最上もがさん(1)

もがちゃんの魅力は「実直さ」。「強み」であり「弱み」。

常に直球勝負で、曲がったことが苦手。ねむさんに「いい子なのに誤解されやすいのが悔しい」とまで言われた金色の異端児。

 

でも、6人の中で一番普通で常識人だったのは彼女だと思う。

自分が何者か分からず、やりたい事が見つからず、人の気持ちに敏感で、人のためになりたくて、傷つきやすくて・・・。そして、そんな自分をそのまま受け入れてくれる世界を夢見ている、そんな普通の二十代の女の子。普通と違うのは、そんな彼女が芸能界という過酷な世界に身を置いているという点。

 

良くも悪くも、他のメンバーはもっと割り切っている。一番の違いは、他のメンバーは「中の人」の存在を消し去っていること。「本当の自分」に対するこだわりのなさ。

ステージ上で輝いてさえいればいい未鈴さん。

趣味の世界に生き、現実世界を侵食している相沢さん。

作品としての「夢眠ねむ」に徹するねむさん。

みんなに元気を与えるため理想のアイドルに徹し、泣き顔は見せたくないとカメラを止めさせるえいたそ。

物心ついたときからコスプレイヤーで人前で演じることに長けたピンキー。

 

キャラ作りしてるという意味ではないし、もちろん「中の人」の存在は常に透けて見えるけど、他の5人は仕事の自分とプライベートの自分は完全に分けて生きている。

 

でも、もがちゃんは多分違う。

自分に正直でいたいし、こうした二面性を使い分けるほど器用でもない。

最上もが」としてではなく「中の人」として意見を言うし、「最上もが」として活動していても「本当の自分」を理解して欲しい。誤解されたくない。

 

本当に不器用で辛い生き方だと思うけど、私は良く分かる。かつての私がそうだったから。

10年程前、休職したことがある。

当時の私は、それまでの実績を買われ、海外の会社との新事業の交渉を任されていた。

それまで成果を出してきたし、任された仕事はそれなりにこなしてはいたものの、本来の自分はそんなに押しの強い方ではなく、お互いの気持ちが分かるだけに利害の不一致を気に病み、気が滅入る日々を過ごした。

しかし、ある時こう思い、そして救われた。

「仕事はあくまで職業人としての自分。本当の自分が傷つく必要はない」

 

「もがちゃんもそうすればいいのに」ということではない。でも最近増えている女優のお仕事で「別の自分」を演じることを通じて、少しでも彼女の気持ちが軽くなればいい、とは思う。

ちなみに私は、必要以上に台詞に感情をのせた口先だけの演技が嫌いなので、彼女の身のこなしや台詞回しを割と評価している。